この記事の想定読者
- 右折車線の長さの求め方を知りたい人
- テーパー長・シフト長・滞留長の関係を整理したい若手技術者
交差点設計で最初に計算らしい計算をするのが、右折車線です。「右折車線って結局どこからどこまで何メートル?」――この疑問に答えます。右折車線長は、3つの区間の足し算でできています。
右折車線は3つの区間でできている
直進してきた車が、右折車線に移って停止するまでの流れを分解すると、こうなります。
- シフト長(lc) ― 本線(直進車線)を右折車線の幅だけ横にずらす区間。直進車を交差点に対してまっすぐ通すために、本線そのものを平行移動させる
- テーパー長(ld) ― 右折車線を斜めに開いていく(すりつける)区間。車が直進車線から右折車線へ滑らかに移れるようにする
- 滞留長(ls) ― 右折待ちの車が並ぶ区間。ここが足りないと、右折待ち行列が直進車線にあふれて渋滞の原因になる
右折車線長(L)は、おおむね「シフト長+テーパー長+滞留長」として設計します(数え方は要領により細部が異なります)。
テーパー長とシフト長 ― 式で出る
テーパー長とシフト長は、設計速度と横移動量から計算します。Vは設計速度(km/h)、ΔWは横方向のシフト量(右折車線の幅員と考えてよい)です。
| 区間 | 計算式 | 意味 |
|---|---|---|
| テーパー長 ld | ld = V・ΔW / 6 | 右折車線へすりつける斜めの区間 |
| シフト長 lc | lc = V・ΔW / 3 | 本線を横移動させる区間(計算値が小さい場合は最小値40m程度) |
たとえば設計速度60km/h、右折車線幅3.0m(ΔW=3.0)なら、テーパー長 ld=60×3.0/6=30m、シフト長 lc=60×3.0/3=60m。速度が高いほど、また横移動が大きいほど、長い区間が必要になるのが式から読み取れます。
滞留長 ― 行列を直進車線にあふれさせない
滞留長は、信号1サイクルの間にたまる右折車の待ち行列を収める長さです。本来は、1サイクル当たりの平均右折台数と1台あたりの車頭間隔(乗用車6m・大型車12m、不明なら混入率15%として約7m)から計算します。ただし、右折交通量が把握できない場合は、原則として30m以上を確保するのが目安とされています。
滞留長の不足は、いちばん起きやすい設計ミス。右折車の行列が右折車線からあふれると、直進車線をふさいで交差点全体の処理能力が落ちます。新設では計算で出せますが、既設交差点の改良では現地のピーク時の右折台数を実測して決めるのが原則。机上の交通量と現地の実態がずれやすい部分なので、発注者・受注者とも「滞留長の根拠は現地確認したか」を協議で必ず確認したい項目です。
右折車線が確保できないとき
既設道路で用地や幅員の制約から正規の右折車線(幅3.0m)が取れない場合でも、右折車を分離する効果は大きいので、右折車線相当として1.5m以上のふくらみを確保できれば、直進車線との境界標示を施さずに右折車を寄せる方法があります。完全な右折車線が無理でも、できる範囲で右折車を分離する――この発想を持っておくと、現道改良の選択肢が広がります。
まとめ
- 右折車線長 ≒ シフト長+テーパー長+滞留長
- テーパー長 ld=V·ΔW/6、シフト長 lc=V·ΔW/3(設計速度と幅員から計算)
- 滞留長は右折台数と車頭間隔から。不明なら原則30m以上
- 滞留長不足は直進閉塞に直結。既設改良は現地のピーク右折台数を実測
- 正規幅が取れなくても1.5m以上のふくらみで右折車を分離できる
※出典: 道路構造令 第27条、および各地方整備局の道路設計要領(右折車線長・テーパー長・シフト長・滞留長の計算式)。2026年6月時点で確認しています。計算式の係数・最小値は要領により異なるため、業務では該当する道路管理者の最新の要領をご確認ください。
