地場コンサルで働くという選択 ― 大手との違いと、リアルな待遇の話

この記事の想定読者

  • 就職・転職で、大手コンサルと地場コンサルのどちらに行くか迷っている土木技術者・学生
  • 「地場の中小=激務で薄給」というイメージを持っている人

建設コンサルタントの就職・転職の話になると、暗黙の前提のように「大手のほうが上」という空気があります。私はその空気に、実体験から異を唱えたい一人です。なにしろ、大手設計会社からの誘いを断って、社員30人ほどの地場コンサルを選んだ人間なので。

この記事では、地場コンサルで実際に働いている立場から、強みと弱みの両方を、待遇の数字も含めて正直に書きます。最初に断っておくと、地場コンサルは会社による差がとても大きい世界です。以下は「私の勤務先の実例」として読んでください。

強み① 業務の幅 ― 橋梁も、治山も、砂防も

地場コンサルの一番の強みは、業務の幅です。大手は部門が細分化され、配属された専門を深掘りしていくキャリアになりがちです。一方、地場は地域のあらゆる土木を引き受けるので、橋梁、治山、砂防と、分野をまたいで業務に触れる機会があります。

私が出戻り先に地場を選んだ理由も、まさにこれでした。いまは幅広く知識を蓄積する時期だと考えたからです。実際、狙いどおり多様な分野の経験が積み上がっています。深く一本を極めたいのか、幅を取ってから専門を選びたいのか。これはどちらが上という話ではなく、キャリア戦略の違いです。

強み② リアルな待遇 ― 「地場=激務で薄給」はもう古い

意外に思われるかもしれませんが、待遇の話をします。私の今の働き方の実数です。

  • 残業は月10時間程度。災害対応のような業務でも、手続きが簡略化される流れがあり、昔のような泊まり込み体質ではない
  • 年間休日は130日弱
  • 給与は平均年収より少し上の水準。正直、満足している

背景には、業界全体の人手不足と働き方改革があります。人が採れない時代に、激務を放置している会社からは人が逃げる。だから地場でも、生き残っている会社ほど働き方の改善が進んでいる、というのが私の実感です。「中小だから条件が悪いはず」という先入観で選択肢から外すのは、もったいない時代になっています。

弱み① 若手が入ってこない、続かない

ここからは弱みを正直に。地場の一番の課題は、若手が入ってこないこと、そして入っても続かないことです。

知名度では大手に敵わず、採用は年々厳しい。せっかく入った若手も、定着するとは限らない。組織の年齢構成が上に偏っていき、教育に割ける人手はさらに減る――この循環は、多くの地場コンサルが抱えている現実だと思います。

私には、この問題への持論があります。若手には、若いうちから設計を触らせたほうがいい。吸収が早い時期に設計の面白さに触れられれば、技術者として続く理由ができるからです。これは、若手時代に現場ばかりで「成長できない」と焦り、結局会社を離れた自分自身の経験からくる考えでもあります。若手を定着させたい地場コンサルこそ、現場と設計のバランスを本気で設計すべきだと思っています。

弱み② 現場仕事は、必ずある

もう一つ、覚悟しておくべきことを。地場コンサルで働く以上、現場仕事は必ずあります。測量、現地踏査、立会い。デスクワークだけで完結する仕事ではありません。

そして、近年の夏の暑さは本当に厳しい。猛暑の中の現場は、正直しんどい日もあります。幅広い業務に触れられるという地場の強みは、裏を返せば、現場にも出る働き方とセットだということ。ここは美化せずに伝えておきます。

どちらを選ぶか ― 「上下」ではなく「戦略」で

整理します。大手と地場は、上下関係ではなく、性格の違うキャリアの選択肢です。

  • 地場が向く人 ― 幅広い分野に触れて土台を作りたい人。地元に腰を据えたい人。組織の規模より仕事の中身と働きやすさで選びたい人
  • 大手が向く人 ― 大規模案件や先端分野で専門を深めたい人。全国転勤も含めてスケールを取りたい人

大事なのは、知名度やイメージではなく、自分がいまのキャリアの段階で何を取りに行くかで選ぶこと。私は「幅を取る時期」と判断して地場を選びました。数年後、突出した専門を作る段階に入ったら、また戦略は変わるかもしれません。会社選びは一度きりの決断ではなく、戦略の更新です。

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