「このままでは成長できない」― 測量ばかりだった若手時代、同世代との差に焦った話

この記事の想定読者

  • 現場作業ばかりの毎日で、「自分は成長しているのか」と不安になっている若手技術者
  • 同世代と自分を比べて、焦りを感じたことがある人

24歳で、社員30人ほどの地場の建設コンサルタントに入りました。設計の仕事がしたくて入った会社です。でも実際に待っていたのは、来る日も来る日も測量現場でした。

この記事は、そのころの私と同じように「このままでは成長できない」と感じている若手に向けて書きます。あの焦りの正体は何だったのか。どう切り分ければよかったのか。そして私が実際にどう動いたのか。きれいな成功談ではなく、正直に書きます。

気づいた瞬間 ― 同世代は、設計を触っていた

焦りがはっきり形になったのは、よその会社の同世代と自分を比べたときでした。

自分は現場ばかりに出されている。その間に、ほかの会社の同世代は設計を触っている。そして気づいてしまったのです。自分には、設計の知識がない。

毎日働いているのに、技術者としての引き出しが増えていない。経験年数だけが積み上がって、中身が追いついていない。この感覚は、経験した人にしかわからない種類の怖さだと思います。忙しさは充実とは違う、ということを、私はこのとき初めて知りました。

「成長できない」の正体を切り分ける

当時は焦るだけで精一杯でしたが、今振り返ると、あの「成長できない」には2つの成分が混ざっていました。これを切り分けられるかどうかが大事です。

成分①:環境の問題 ― 若手が設計に触れない構造

小さな地場コンサルでは、若手はまず現場要員になりがちです。人手の少ない会社ほど、体力のある若手を測量に回すのは経営として自然な判断で、教育体制を整える余裕もない。つまり「設計をやらせてもらえない」のは、私の能力の問題ではなく、会社の構造の問題でした。

施工管理の記事でも書いたことですが、構造から来る問題を個人の我慢で埋めようとしても、消耗するだけです。これは環境の問題なのか、自分の問題なのか。まずそこを冷静に見ることが、焦りを行動に変える第一歩になります。

成分②:自分の問題 ― 現場を「作業」としてこなしていた

ただ、すべてを環境のせいにするのも違います。正直に言えば、当時の私は測量を「こなす」だけになっていた時期がありました。この測量が設計のどこに使われるのか、なぜこの精度が要るのか。考えながら測っていれば、現場からでも設計につながる学びは取れたはずです。

何も考えずに測量だけをしていると、ただただ作業員になってしまう――これは私が今、若手に一番伝えたいことですが、出どころは他でもない、当時の自分への反省です。

私は、環境を変えることを選んだ

27歳のとき、私は公務員試験を受けて、地方公務員の技術職に転身しました。発注者側に回るという、当時の自分なりの答えです。

ここで、甘い話にしないために正直に書いておきます。発注者側に行けば設計が学べる、と期待して動いた転身でしたが、現実はもっと厳しいものでした。発注者の世界では、私が積み上げてきた測量の経験はほとんど通用しなかったのです。求められるのは設計の知識。つまり、ないものを問われ続ける毎日。結果として、公務員としての5年間は、すべてが勉強の5年間になりました。

それでも、あの決断は正しかったと思っています。「知識がない」ことに気づいたまま、知識を使わない場所に居続けるのと、知識を要求される場所に身を置くのとでは、5年後がまったく違うからです。環境を変えるとは、楽になることではなく、成長せざるを得ない場所に自分を置くことでした。

いま焦っているあなたへ ― 順番はこうだと思う

同じ焦りの中にいる人に、経験者として伝えられることを順番にすると、こうなります。

  1. 焦りを切り分ける ― それは環境の問題か、自分の取り組み方の問題か。両方なら、両方に手を打つ
  2. 今の場所で頭を使う ― 現場しか任されないなら、考えながら現場をやる。「何のための測量か」を考えるだけで、同じ一日の学びが変わる
  3. 環境がネックなら、動くことを恐れない ― 構造の問題は、待っていても変わらない。転職も、発注者側への転身も、資格で立場を変えるのも、全部現実的な選択肢

「成長できない」という感覚は、甘えではありません。あなたの中の技術者が鳴らしている、ちゃんとしたアラームです。鳴っていることに気づけたなら、もう半分は前に進んでいます。

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