転職すべきか、残るべきか ― 2回転職した土木技術者の判断軸

この記事の想定読者

  • 転職が頭をよぎり始めたけれど、踏ん切りがつかない土木技術者
  • 「この程度で辞めるのは甘えだろうか」と自問している人

私はこれまでに2回、転職をしています。27歳でコンサルから公務員へ。32歳で公務員からコンサルへ。迷い抜いた転職もあれば、即決した退職もありました。残って踏ん張った時期もあります。

その経験から言えるのは、「転職すべきか、残るべきか」には、人それぞれの答えがある一方で、判断の軸は共通している、ということです。この記事では、私が2回の転職で確かめてきた判断軸を、できるだけ具体的に書きます。

考え始めたのは、子どもが生まれたときだった

振り返ると、私が自分のキャリアをいろいろ考えるようになったのは、27歳のころです。きっかけは、子どもが生まれたことでした。

毎日現場作業ばかりで、疲れて帰る日々。そこに、守るべき家族が増えた。人生の環境が大きく変わるとき、人は仕事そのものを考え直すのだと思います。結婚、出産、親のこと、自分の体のこと。そういう節目に転職が頭をよぎるのは、甘えでも逃げでもなく、ごく自然なことです。まずそこから認めていい。

判断軸① 自分の頑張りで、環境を変えられるか

私の一番の判断軸はこれです。

自分の頑張りで環境を変えられない場合は、転職していい。

不満の原因を切り分けてみてください。自分の取り組み方や工夫で変えられる問題なら、まだ残って打てる手があります。でも、会社の構造や体制から来る問題――若手に設計を触らせない方針、変わらない組織、仕事の偏り――は、一社員の頑張りでは変わりません。変えられないものを我慢で埋め続けても、消耗するだけです。

私の27歳の転職は、まさにこれでした。「設計をやらせてもらえない」のは私の能力ではなく会社の構造の問題で、私には変えられなかった。だから環境ごと変えた。この切り分けの考え方は、施工管理のきつさの記事でも書いた、このサイトの一貫した結論です。

判断軸② メンタルと体調 ― ここだけは絶対のライン

もう一つ、議論の余地なく明確な軸があります。メンタルも、体調も、崩してはいけない。ここは絶対のラインです。

私は32歳のとき、ストレスから体に症状が出て、退職を即決しました。あのとき学んだのは、体のサインが出た時点で、もう「迷う段階」ではないということです。キャリアも年収も、健康という土台の上にしか積めません。崩れてから後悔しても、回復には時間がかかります。もしいま、朝起きるのがつらい、体に変調があるという人がいたら、その状態での「もう少し頑張る」は美徳ではないと伝えたい。

やめたほうがいい転職 ― 給料だけ、嫌な上司が少しいる

逆に、「その理由なら、やめないほうがいい」と思うものも正直に書きます。給料だけを理由にした転職と、嫌な上司が少しいる程度を理由にした転職です。

合わない人は、どの職場にも多少はいます。給料の差も、隣の芝は青く見えるものです。その一点だけで動くと、転職先で別の不満に出会ったとき、また同じ理由で動きたくなる。転職は判断軸が痩せていると、繰り返すほど消耗します。

そして、これは2回転職して心から思うことですが――人間関係がうまくいっていて、職場が円滑であるというのは、とても幸せなことです。いま当たり前に持っているものの価値は、失ってから気づきがちです。辞める前に、不満の棚卸しだけでなく、「いま持っている幸福の棚卸し」もしてみてください。それでも天秤が転職に傾くなら、動けばいい。

いまの時代観 ― 転職はステップアップ、副業は視野を広げる

最後に、時代の話を。終身雇用が前提だった時代の「転職=都落ち」という感覚は、もう実態と合っていません。いまの転職は、キャリアのステップアップの手段です。私自身、2回の転職で設計力と発注者の視点を手に入れ、技術者として明らかに厚くなりました。

もう一つ、転職の手前にある選択肢として、副業にも触れておきます。副業は収入を増やす手段であると同時に、視野を広げる役割があると私は思っています。会社の外の世界を小さく経験してみると、自分の市場価値や、いまの職場の良し悪しが相対化されて見えてくる。いきなり転職に飛ぶ前に、視野を外に開く方法は意外とあるのです。

まとめ:判断のフレーム

  1. 不満を切り分ける ― 自分の頑張りで変えられる問題か、変えられない構造の問題か。変えられないなら、転職していい
  2. 健康ラインは絶対 ― メンタルと体調を崩してはいけない。サインが出たら、迷う段階ではない
  3. 痩せた理由で動かない ― 給料だけ、嫌な上司が少し、では動かない。いま持っている幸福(円滑な人間関係)の棚卸しを先に
  4. 転職はステップアップの手段 ― 副業などで先に視野を広げるのも一手。動くなら「辞める理由」ではなく「行く理由」を持って

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です