この記事の想定読者
- 路面排水の流量計算の考え方を知りたい若手技術者
- 合理式の各記号が何を表すのか整理したい人
これまで側溝・桝・管渠を見てきました。では、その断面や間隔は何を根拠に決まるのか。答えは流量計算です。路面排水の流量は、合理式という1つの式で出します。難しそうに見えますが、中身は素直です。
合理式 ― Q = (1/360)・C・I・A
路面排水の流出量は、合理式で計算します。
Q = (1/360)・C・I・A
Q: 流出量(m³/s)、C: 流出係数、I: 降雨強度(mm/h)、A: 集水面積(ha)。1/360は単位をそろえる係数です。要は「降った雨(I)のうち、地面にしみ込まず流れる割合(C)を、面積(A)ぶん集めたものが流量(Q)」という、ごく素直な掛け算です。
流出係数C ― どれだけ流れるか
流出係数Cは、降った雨のうち地中にしみ込まず表面を流れる割合です。0〜1の値で、舗装のように水を通さない面ほど1に近づきます。
| 地表面の種類 | 流出係数Cの目安 |
|---|---|
| アスファルト・コンクリート舗装 | 約 0.9 |
| 砂利道・締まった裸地 | 0.4〜0.6 程度 |
| 芝・植生のある斜面 | 0.2〜0.4 程度 |
路面排水ではアスファルト舗装が主なので、C=0.9前後を使うことが多くなります。集水域に法面や植生地が混じる場合は、それぞれのCを面積で按分して合成します。
降雨強度I ― どれだけ激しく降るか
降雨強度Iは、設計上想定する雨の激しさ(mm/h)です。何年に一度の雨を想定するか(確率年)と、雨が集水域の端から流れ着くまでの時間(流達時間)で決まります。路面排水のような小規模な施設は、要領が定める標準降雨強度を使うのが一般的です。一方、道路を横断するカルバートのような重要施設は、確率降雨強度式で個別に求めます。施設の重要度で、Iの求め方の精度を変えるわけです。
計算結果が、桝間隔と管径になる
合理式で流量Qが出たら、それを流せるように施設を決めます。側溝が流せる量から桝の間隔が決まり、桝に集まる量から取付管の径が決まる。前回「桝間隔20mは標準で、本来は計算で求める」と書いたのは、このことです。標準値は便利な目安ですが、集水面積が大きい区間や降雨条件が厳しい地域では、計算が標準を上回る。標準値で済ませてよいか、計算で確かめる――この一手間が、あふれない排水の分かれ目です。
集水面積に「道路の外」を入れ忘れない。排水計算でいちばんやりがちなミスが、集水面積を道路の路面だけで取ってしまうことです。実際は、道路に向かって落ちてくる背後の山の斜面や隣接地も集水域に入る。これを見落とすと、計算流量が実際より小さくなり、施設が能力不足になります。集水域は、道路だけでなく「水が道路に向かってくる範囲」全体で取る――現地の地形を見て判断する部分で、近年の局地的豪雨ではここの甘さが冠水に直結します。
まとめ
- 路面排水の流量は合理式 Q=(1/360)·C·I·A で計算する
- 流出係数C: アスファルト舗装で約0.9。混在地は面積按分で合成
- 降雨強度I: 小規模施設は標準降雨強度、重要施設は確率式で精度を変える
- 計算結果が桝間隔・管径の根拠になる。標準値は計算で確かめる
- 集水面積は「水が道路に向かってくる範囲」全体で取る(背後地を入れ忘れない)
※出典: 道路土工-排水工指針、各地方整備局の道路設計要領(合理式・流出係数・標準降雨強度)。2026年6月時点で確認しています。係数・降雨強度の具体値は各道路管理者の最新の要領・地域の降雨データをご確認ください。
