この記事の想定読者
- 縦断勾配の最大値をすぐ確認したい人
- 「なぜ5%が境目なのか」を根拠から理解したい若手技術者
平面線形の次は縦断線形です。道路の上り下りのきつさ――縦断勾配には、設計速度ごとに上限があります(道路構造令第20条)。まず表から。
最大縦断勾配の表(第20条・普通道路)
| 設計速度(km/h) | 第1〜3種(規定値) | 特例値 | 第4種(規定値) | 特例値 |
|---|---|---|---|---|
| 120 | 2 % | 5 | ― | ― |
| 100 | 3 % | 6 | ― | ― |
| 80 | 4 % | 7 | ― | ― |
| 60 | 5 % | 8 | 5 % | 7 |
| 50 | 6 % | 9 | 6 % | 8 |
| 40 | 7 % | 10 | 7 % | 9 |
| 30 | 8 % | 11 | 8 % | 10 |
| 20 | 9 % | 12 | 9 % | 11 |
根拠 ― 「満載のトラックが登れるか」で決まっている
この表の根拠は、自動車の登坂性能です。乗用車はパワーに余裕があるので多少の坂では速度が落ちませんが、満載の普通トラックは坂で目に見えて減速します。構造令の規定値は、おおむね「普通トラックが設計速度の約半分の速度で登坂できる勾配」として定められています。
つまり縦断勾配の上限は、道路の構造的な限界ではなく交通機能の限界です。トラックが極端に減速すれば、後続車が詰まり、追越しが誘発され、道路全体の交通容量と安全性が落ちる。それを防ぐラインが、この表の数字です。
5%という境目を覚えておく。縦断勾配が5%を超える車道には、必要に応じて登坂車線(幅員3m)を設ける規定があります(第21条。高速自動車国道など設計速度100km/h以上の道路では3%超)。山地部の長い上り坂で「ここから登坂車線」となるのは、この規定が根拠です。
現場での使い方 ― 縦断は土工量と構造物に直結する
縦断計画は、事業費への影響が平面線形以上に大きい検討です。勾配を緩くしようとすれば、切土・盛土が深くなり、橋やトンネルが必要になることもある。逆に地形に沿わせて勾配をきつくすれば、土工は減るが走行性と安全性を削る。最大値の表は、このトレードオフの「ここまでは譲れる」という限界線として使います。
特例値の作法はシリーズ共通です。規定値で計画した場合の土工量・構造物・事業費と比較して、「やむを得ない」の中身を協議資料で示す。また、きつい縦断勾配ときついカーブが重なる区間では、片勾配と合成した合成勾配の上限(第25条)に引っかからないかを必ず確認してください。
まとめ
- 最大縦断勾配は区分と設計速度で決まる(第20条)。60km/h→5%、50→6%、40→7%
- 根拠は満載トラックの登坂性能。構造の限界ではなく、交通機能を守るための上限
- 5%超(高速系は3%超)は登坂車線の検討ライン(第21条、幅員3m)
- 縦断は土工量・構造物・事業費に直結。特例値は規定値案との比較とセットで
- カーブと重なる区間は合成勾配の上限(第25条)もチェック
次回は、勾配と勾配のつなぎ目――縦断曲線です。
※出典: 道路構造令 第20条(縦断勾配)・第21条(登坂車線)。2026年6月時点の条文で確認しています。道路構造の基準は各道路管理者の条例に委任されているため、業務では該当する条例・最新の条文をご確認ください。