縦断曲線の半径と長さ ― 勾配の変わり目を滑らかに(道路構造令第22条)

この記事の想定読者

  • 縦断曲線の半径・長さの基準値を確認したい人
  • 凸形と凹形で値が違う理由を知りたい若手技術者

上り5%の坂が、頂上でいきなり下り4%に変わったら――車は宙に浮くような衝撃を受け、しかも頂上の先がまったく見えません。だから縦断勾配が変移する箇所には縦断曲線を設けます(道路構造令第22条)。今回はその半径と長さです。

縦断曲線の半径と長さの表(第22条)

設計速度(km/h)凸形曲線の半径凹形曲線の半径曲線の長さ
12011,000 m 以上4,000 m 以上100 m 以上
1006,5003,00085
803,0002,00070
601,4001,00050
5080070040
4045045035
3025025025
2010010020
縦断曲線の半径と長さ(道路構造令第22条)。設計速度60km/hの第4種第1級は、やむを得ない場合に凸形を1,000mまで縮小できる特例がある。

凸と凹で値が違う理由

表を見ると、高速域では凸形のほうがはるかに大きな半径を要求されています(120km/hで凸11,000に対し凹4,000)。これは、2つの曲線で「効いている制約」が違うからです。

  • 凸形(山のてっぺん)を決めるのは視距。頂上の向こう側が見えない――前方の障害物を見とおせる距離(視距)を確保するには、山を緩やかに削る必要があります。速度が上がるほど必要な視距が伸びるので、半径が急激に大きくなる
  • 凹形(谷底)を決めるのは衝撃。谷底では車が押し付けられる方向に力を受けます。乗員が不快に感じない加速度に抑えるための半径です(夜間のヘッドライトの照射範囲も関わります)

低速域(40km/h以下)で凸と凹が同じ値になるのは、速度が低ければ視距の要求が緩み、衝撃側の条件と並ぶためです。

現場での使い方 ― 交差点取付と既設すりつけで効いてくる

新設の本線では縦断曲線で悩むことは少ないのですが、効いてくるのは取付部です。交差点への取付、既設道路へのすりつけ、橋梁前後――限られた延長の中で勾配差を処理しようとすると、規定の半径と長さが入らない、という事態が起きます。縦断曲線の長さは「半径×勾配差」で決まるので、勾配差が大きいほど長い区間が必要になる。取付計画の初期段階で、勾配差と確保できる延長をまず確認するのが手戻りを防ぐコツです。

実務メモ: どうしても入らない場合の考え方も構造令に用意されています。設計速度60km/hの第4種第1級では、やむを得ない場合に凸形縦断曲線の半径を1,000mまで縮小できる(第22条第2項ただし書)。市街地の交差点が連続する道路を想定した特例です。使う場合の根拠整理の作法は、シリーズで繰り返しているとおりです。

まとめ

  • 勾配が変移する箇所には縦断曲線(第22条)。60km/hで凸1,400m・凹1,000m・長さ50m以上
  • 凸形は視距、凹形は衝撃(と夜間照射)が決め手。だから高速域では凸のほうが大きい
  • 必要長は勾配差に比例。交差点取付・既設すりつけでは最初に勾配差と延長を確認
  • 60km/hの第4種第1級には凸形1,000mまでの特例がある

※出典: 道路構造令 第22条(縦断曲線)。2026年6月時点の条文で確認しています。道路構造の基準は各道路管理者の条例に委任されているため、業務では該当する条例・最新の条文をご確認ください。

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