この記事の想定読者
- 横断勾配・合成勾配の基準値を確認したい人
- 「2%」と「合成勾配チェック」の意味を根拠から知りたい若手技術者
道路の路面は、直線部でもわずかに傾いています。雨水を側溝へ流すための横断勾配です(第24条)。そして縦断勾配と横断方向の勾配を合成した「実際の最大傾斜」には上限があります(第25条・合成勾配)。線形検討の最後の検算になる2つの規定を整理します。
横断勾配 ― 排水のための傾き(第24条)
| 対象 | 横断勾配(標準) |
|---|---|
| 車道(基準に適合する舗装道) | 1.5 〜 2 % |
| 車道(その他の路面) | 3 〜 5 % |
| 歩道・自転車道等 | 2 % 標準 |
勾配が小さすぎると水が抜けず、ハイドロプレーニングや水はねの原因になる。大きすぎると車両の斜行やスリップを誘発する。その間を取ったのが1.5〜2%です。アスファルト舗装の標準横断図でおなじみの「2.0%」は、この規定から来ています。透水性舗装では勾配を縮小・省略できる規定があるのも、覚えておくと役立ちます。
合成勾配 ― 路面上の「本当の最大傾斜」(第25条)
坂道のカーブでは、縦断勾配と片勾配(または横断勾配)が同時に存在します。車が実際に感じる最大の傾きは、その合成値 S=√(i²+j²)。これが合成勾配で、設計速度ごとに上限が定められています。
| 設計速度(km/h) | 合成勾配の上限 |
|---|---|
| 120・100 | 10 % |
| 80・60 | 10.5 % |
| 50・40・30・20 | 11.5 % |
引っかかるのは「山地部の急坂×きついカーブ」。たとえば縦断勾配9%(特例値)の区間に片勾配6%のカーブを置くと、合成勾配は√(9²+6²)≒10.8%。設計速度50km/h以下なら11.5%以内でセーフですが、積雪寒冷のはなはだしい地域なら8%上限に対して明確にアウトです。縦断と平面を別々に基準クリアさせても、合成で落ちる――線形検討の最後に必ず確認したい項目です。
まとめ
- 横断勾配は排水のための傾き。舗装道1.5〜2%、歩道等2%標準(第24条)
- 合成勾配 S=√(i²+j²) に設計速度ごとの上限。10/10.5/11.5%(第25条)
- 積雪寒冷のはなはだしい地域は8%以下 ― 雪国の線形検討ではここが効く
- 急な縦断ときついカーブの重なる区間で、最後に合成勾配を検算する
※出典: 道路構造令 第24条(横断勾配)・第25条(合成勾配)。国土交通省公表の道路構造令解説資料を参照し、2026年6月時点で確認しています。道路構造の基準は各道路管理者の条例に委任されているため、業務では該当する条例・最新の条文をご確認ください。
