この記事の想定読者
- 緩和区間の長さの基準値を確認したい人
- カーブで車線が広がっている理由を根拠から説明したい若手技術者
曲線半径(第15条)と片勾配(第16条)を決めたら、カーブまわりにはあと2つの仕上げが要ります。車線を広げる「拡幅」(第17条)と、直線から曲線へ滑らかにつなぐ「緩和区間」(第18条)です。
拡幅 ― 前輪と後輪は同じ場所を通らない(第17条)
カーブを曲がる車は、後輪が前輪より内側を通ります。いわゆる内輪差です。車体が占有する幅は直線部より広くなるので、車道の曲線部では、設計車両と曲線半径に応じて車線を適切に拡幅することが定められています。半径が小さいほど、そして車両が長い(普通自動車12m・セミトレーラ連結車16.5m)ほど、必要な拡幅量は大きくなります。
なお、第2種と第4種の道路では、地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合は拡幅しないことができます。市街地で用地に余裕がないケースを想定した規定です。
緩和区間 ― ハンドルは一瞬で切れない(第18条)
直線からいきなり半径150mの円曲線が始まると、運転者はその瞬間にハンドルを一定角まで切らなければならず、遠心加速度が突然発生します。これを避けるため、車道の屈曲部には緩和区間を設け、線形を徐々に変化させます。長さの最小値は設計速度で決まっています。
| 設計速度(km/h) | 緩和区間の長さ |
|---|---|
| 120 | 100 m 以上 |
| 100 | 85 |
| 80 | 70 |
| 60 | 50 |
| 50 | 40 |
| 40 | 35 |
| 30 | 25 |
| 20 | 20 |
緩和区間は「すりつけの作業場」でもある。曲線部で片勾配を附し、または拡幅をする場合は、緩和区間においてすりつける――これが第18条第2項です。標準の横断勾配から片勾配へ、標準幅員から拡幅後の幅員へ、変化はすべてこの区間で処理します。だから表の値は最低ラインで、すりつけに必要な長さが上回るならそちらが支配する。片勾配が大きい曲線ほど、緩和区間は表より長くなりがちです。なお、第4種の道路では、やむを得ない場合は緩和区間を設けないことができます。
現場での使い方 ― 曲線1つは「半径+片勾配+拡幅+緩和」のセット
平面線形の検討は、曲線半径だけ決めて終わりではありません。1つのカーブには、半径(第15条)・片勾配(第16条)・拡幅(第17条)・緩和区間(第18条)・視距(第19条)が常にセットでついてきます。IP点を1つ動かせば、この5点すべてを確認し直す。逆に言えば、このセットを頭に入れておけば、線形図のチェックポイントは自然と見えてきます。
まとめ
- 拡幅の理由は内輪差。設計車両と曲線半径に応じて車線を広げる(第17条)
- 緩和区間は遠心加速度を徐々に発生させるための区間。60km/h→50m以上(第18条)
- 片勾配・拡幅のすりつけは緩和区間で行う。すりつけ必要長が表を上回ればそちらが支配
- 第2種・第4種には拡幅・緩和区間の緩和規定(やむを得ない場合)がある
- カーブ1つ=半径・片勾配・拡幅・緩和区間・視距のセットで確認する
※出典: 道路構造令 第17条(曲線部の車線等の拡幅)・第18条(緩和区間)。2026年6月時点の条文で確認しています。道路構造の基準は各道路管理者の条例に委任されているため、業務では該当する条例・最新の条文をご確認ください。
