視距とは ― 設計速度ごとの必要な見とおし距離(道路構造令第19条)

この記事の想定読者

  • 視距の基準値をすぐ確認したい人
  • 「1.2mと10cm」という定義の意味を知りたい若手技術者

線形がどれだけ滑らかでも、前が見えない道路は走れません。「見える」を数値で担保するのが視距です(道路構造令第19条)。まず定義と表から。

視距の定義 ― 1.2mの目から、10cmの物を見とおす

視距とは、車線の中心線上1.2メートルの高さから、その中心線上にある高さ10センチメートルの物の頂点を見とおすことができる距離(中心線に沿って測った長さ)です(第2条)。1.2mは乗用車の運転者の目の高さ、10cmは路上の落下物などを想定した障害物の高さ。つまり「運転者が路面上の障害物に気づける距離」を測るための約束事です。

必要視距の表(第19条)

設計速度(km/h)視距
120210 m 以上
100160
80110
6075
5055
4040
3030
2020
視距(道路構造令第19条)。この値は、障害物を認知して反応し、ブレーキで停止するまでに必要な距離(制動停止視距)に対応する。

中身は「見えてから止まれる距離」です。障害物に気づいてからブレーキを踏むまでの空走距離と、ブレーキが効いてから止まるまでの制動距離の合計。速度が上がると両方が伸びるので、必要視距も伸びていきます。なお、2車線道路(対向方式)では、必要に応じて追越しに十分な見とおしの確保された区間を設ける規定もあります(第19条第2項)。

視距不足が起きやすい3つの場所

  • 凸型縦断曲線の頂上付近 ― 山の向こうが見えない。凸形の縦断曲線半径が大きく規定されている理由がこれ(第22条)
  • 曲線の内側に切土法面や構造物がある区間 ― 平面線形は基準を満たしていても、内側の法面・擁壁・防護柵が視線を遮る
  • 植栽・標識・橋脚などの路上の工作物まわり ― 供用後に成長した樹木で視距が失われるケースもある

視距は「線形検討の検算」として使う。曲線半径・片勾配・縦断曲線を個別に基準クリアさせても、組み合わせた結果として視距が不足することがあります。特に平面曲線と凸型縦断が重なる箇所、曲線内側に切土がある箇所は要注意。線形を決めたら、危ない箇所で視距を図上確認する――この一手間が、照査での指摘と手戻りを防ぎます。

まとめ

  • 視距=1.2mの目の高さから10cmの物を見とおせる距離(第2条)
  • 必要視距は設計速度で決まる(第19条)。60km/h→75m、50→55m、40→40m
  • 中身は「見えてから止まれる距離」。2車線道路では追越し見とおし区間の規定も
  • 凸型縦断の頂上・曲線内側の切土・路上工作物まわりで不足しやすい。線形決定後の検算に使う

※出典: 道路構造令 第2条(用語の定義)・第19条(視距等)。2026年6月時点の条文で確認しています。道路構造の基準は各道路管理者の条例に委任されているため、業務では該当する条例・最新の条文をご確認ください。

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